ジェルネイルの長さ出しはネイリストに欠かせない技術の1つ。
ネイルサロンでは、爪が短いお客様・爪が欠けてしまったお客様から長さ出しのオーダーを受けることが多いです。
ジェルネイルの長さ出しと聞くと「フォームが使いこなせない」「チップが合わない」など、比較的苦手意識を感じている人が多いですよね。
とは言え、一流のネイリストを目指すなら、ジェルネイルの長さ出しをマスターし多くのお客様に満足してもらう必要があります。
そこで今回は、
- ジェルとスカルプの長さ出しについて
- 長さ出しに使用するジェルの強度について
- ネイルフォームとチップフォームを使ったジェルの長さ出しについて
- ティッシュを使ったジェルの長さ出しについて
- ジェルの長さ出しに使えるおすすめの商品について
など、ジェルネイルの長さ出しが苦手なネイリストにとって役立つ情報をお届けします。
実は簡単?ジェルネイルの長さ出しについて解説
まず、ジェルネイルの長さ出しという施術について簡単に解説します。
ジェルネイルの長さ出しとは、短い爪を長く見せるためにチップやジェルを使って自爪が伸びたように見せる画期的なネイル技術のことです。
ジェルネイルの長さ出しをするお客様は、
- 爪を長くして好みのデザインを楽しみたい
- 自爪が弱く伸ばせないけど長くしたい
- 一部の爪が折れてしまったので他の爪と長さを合わせたい
という理由で施術を希望されることが多いです。
ジェルの長さ出しと聞くと「スカルプとどっちがいいの?」と思うかもしれません。
しかし、見た目の印象や求める強度はお客様によって違うので、ジェルネイルよりスカルプネイルの方が良い!というような明確な答えはないんです。
ジェルとスカルプの長さ出しの違いは?
そもそも、ジェルネイルはジェル状の樹脂をライトで硬化して作るネイル技術ですよね。
ジェル自体が柔らかい素材なので、1cm以上長さを出すことはできませんが、爪にジェルをコーティングするのでぷっくりツヤのある見た目に仕上げることができます。
ツヤのある見た目は手元を華やかに演出するので、サロンではジェルネイル自体の人気が高くジェルで長さ出しを希望するお客様が多いです。
それに比べ、スカルプネイルはアクリルリキッドとアクリルパウダーを混ぜた「ミクスチュア」という物質を使い爪に長さを出します。
アクリルを使うと強度や厚みがかなり増すので、長さ出しだけではなく爪割れや反り返りのカモフラージュなど、自爪のトラブルがあるお客様からの需要も多いです。
しかも、スカルプは強度がある分1cm以上の長さ出しや立体的なアートが可能なので、爪や指が短く子供っぽく見える人・爪が弱く折れやすい人からのリピート率が高くなっています。
ジェルネイルにはない?スカルプの注意点とは?
ジェルネイルとスカルプネイルの違いを聞くと「やっぱり長さ出しはスカルプの方がいいのでは?」と思うかもしれませんが、スカルプには下記のような注意点があることも覚えておきましょう。
- 指が重く感じる
- オフの際自爪に負担がかかる
- 独特な匂いがする
- 人工的に見える
スカルプは厚みや強度がある反面、指が重く感じるという人が多く日常生活のちょっとした動きがストレスになってしまう可能性も。
さらに、オフの際は厚みがある分ファイルで多めに削る必要があるので、ジェルネイルに比べると自爪への負担は大きくなります。
しかも、スカルプはアクリルリキッドの独特な匂いがするので、施術中は十分な換気をしないとお客様が体調を悪くしてしまう可能性があることもお忘れなく。
そして、スカルプはジェルネイルのようにぷっくりと女性らしい見た目にはならず、どちらかと言うと付け爪のようにシャープで人工的な仕上がりになることも理解しておきましょう。
長さ出しは使用するジェルによって強度が変わるって本当?
一般的にジェルネイルは、ソフトジェルとハードジェルの2種類のジェルを使って長さ出しをしますが、強度や仕上がりに違いはあるの?と気になっている人も多いはず。
そこでここからは、長さ出しに使用するソフトジェルとハードジェルの違いについて解説します。
長さ出しに使用するジェル①ソフトジェル
名前の通り、ジェル自体が柔らかい・柔軟性があるのがソフトジェルです。
多くのネイルサロンではこのソフトジェルをメインで使用しており、5mm程度の長さ出しならソフトジェルでも十分可能になります。
ソフトジェルの1番のメリットは、アセトン溶剤で簡単にオフできること。
コットンにアセトンを含ませて爪に乗せ、数分放置するだけでジェルがふわっと浮きあがてくるので自爪へのダメージを最小限に抑えてオフすることができます。
ただし、ソフトジェルの長さ出しは爪がもともと薄い人・傷んだ状態の人には向いていません。
そもそもジェルは重ねれば強度が増すわけではないので、自爪のコンディションによってはソフトジェルがすぐに剝がれてしまう可能性があります。
とは言え、ソフトジェルはナチュラルに長さ出しができてオフも楽なので、初めてジェルネイルで長さ出しをしたいというお客様には、まずソフトジェルをおすすめしてみましょう。
長さ出しに使用するジェル②ハードジェル
ハードジェルはソフトジェルほど柔軟性がない反面、強度があるので1cmほどの長さ出しも可能です。
そのため、ストーンやパーツなどを乗せても剝がれにくく、硬さがあるので手をぶつけても簡単にネイルが崩れません。
ただし、ハードジェルはソフトジェルに比べオフするのにかなりの時間がかかります。
ハードジェルはアセトン溶剤で溶けない成分なので、オフの際はファイルで削るしかありません。
当然、時間だけではなく自爪にも負担がかかるので、ハードジェルで繰り返し長さ出しを希望するお客様にはしっかり注意喚起してくださいね。
強度を求めるならソフトジェルよりハードジェルがおすすめですが、先ほど解説したスカルプネイルの強度には劣るので、お客様が求める強度を理解し適切なカウンセリングで施術方法を決めましょう。
よく聞くセミハードジェルとは?
最近、ソフトジェルとハードジェルの中間的存在としてセミハードジェルという商品が販売されています。
セミハードジェルは強度やオフのしやすさなど、すべてにおいて両方の良いとこ取りのようなジェルなので、長さ出しだけではなく仕上げのトップジェルとして使うサロンもあるようです。
通常のトップジェルよりツヤがあり強度も増すので、長さ出しに限らずジェルネイルを施す際の選択肢に入れてみるのはどうでしょうか。
また、セミハードジェルはやや時間はかかるものの、ソフトジェルのようにアセトンを使ってオフすることができます。
そのため、長さ出しの際「ソフトジェルの強度は物足りないけどできるだけ自爪を傷めたくない!」というお客様にも満足してもらえる可能性が高いです。
【ネイルフォーム・チップフォーム】ジェルの長さ出しのやり方
ジェルネイルで長さ出しをするなら「ネイルフォームとチップフォーム両方のやり方を覚えたい!」と思っている人が多いはず。
そこでここからは、ネイルフォームとチップフォームそれぞれを使ったジェルの長さ出しについて解説します。
まず、ジェルネイルの長さ出しをする前に下記の道具を一式そろえておきましょう。
- ファイル
- バッファー
- ワイプ
- メタルプッシャー
- ニッパー
- コットン
- クレンザー
- ベースジェル
- クリアジェル(ソフトジェルorハードジェル)
- UVライトorLEDライト
- ブラシ
これらの道具はネイルフォームでもチップフォームでも必要になります。
長さ出しのやり方①ネイルフォーム編
まずはネイルフォームを使ったジェルネイルの長さ出しを解説します。
ネイルフォームで長さ出しをするときは、念のため眉用の小さなハサミも用意しておきましょう。
やり方の手順は下記の通りです。
- ニッパーで自爪を短くカットする
- ファイルやバッファーで爪の表面を整える
- メタルプッシャーで甘皮を処理する
- クレンザー等で爪の油分・ダストを拭き取る
- ベースジェルを塗りUVライトorLEDライトで硬化する
- ネイルフォームを爪に合わせて当てる
※合わない場合は眉ハサミでフォームをカットし爪に合わせる - ネイルフォームにクリアジェルを塗る
- ネイルフォームと爪の境目にクリアジェルを塗る
※爪の先端までジェルを伸ばすように塗る - UVライトorLEDライトで半硬化する
- 爪全体にクリアジェルを塗り再びUVライトorLEDライトで硬化する
- ネイルフォームを外す
- 硬化してないジェル(未硬化ジェル)をクレンザー等で拭き取る
- ファイルやバッファーで爪の表面を整える
それでは、ネイルフォームを使った長さ出しの手順を詳しく説明していきます。
①ニッパーで自爪を短くカットする
自爪が欠けてしまった場合、まずはニッパーで爪の先端にできた凹凸をカットしましょう。
爪切りを使うと、さらに爪が折れてしまったり2枚爪になったりする可能性があるので避けた方が無難です。
②ファイルやバッファーで爪の表面を整える
爪をカットしたら、ファイルで凹凸を滑らかにする「バッフィング」を、バッファーでジェルとの密着度を上げるための「サンディング」を行います。
③メタルプッシャーで甘皮を処理する
続いて、メタルプッシャーを使い甘皮を処理しますが、甘皮を取りすぎると炎症を起こす可能性が高いです。
そのため、1週間以上甘皮の処理をしていないお客様に限定して処理するようにしてください。
④クレンザー等で爪の油分・ダストを拭き取る
続けて、爪の油分やサンディングで出たダストをクレンザー等で拭き取ります。
ここまでが通常のジェルネイルの施術と同じ下準備の手順です。
⑤ベースジェルを塗りUVライトorLEDライトで硬化
ネイルフォームを付ける前に、自爪だけの状態でベースジェルを塗りライトで硬化します。
⑥ネイルフォームを爪に合わせて当てる
ベースジェルが硬化したら、ネイルフォームを爪に合わせて装着させます。
ネイルフォームが爪に合わない場合は、イエローライン(ピンク色と白色の境目)に合わせてフォームをカットしましょう。
眉ハサミを使えば微調整しながらカットできるので、爪の形にフィットするまで何度も切り直して大丈夫です。
ネイルフォームを装着させたら、上下左右と角度を変えながら見て全体的にゆがみがないか念入りにチェックしておいてください。
⑦ネイルフォームにクリアジェルを塗る
続いて、ネイルフォームの上にクリアジェルを塗っていきます。
ネイルフォームは爪の延長上にガイドが付いているので、長さを出したいところまで厚塗りにならないようにジェルを塗りましょう。
⑧ネイルフォームと爪の境目にクリアジェルを塗る
次にネイルフォームと爪の境目に多めのジェルを落として塗り広げます。
爪の境目からスタートさせ、均一にジェルを広げながら爪の先端まで伸ばすように塗るのがポイントです。
⑨UVライトorLEDライトで半硬化する
ジェルの形を整えるため、一旦ライトで半硬化(5秒ほど)します。
⑩爪全体にクリアジェルを塗り再びUVライトorLEDライトで硬化する
半硬化後、爪全体にジェルを塗って再度硬化させます。
ジェルが厚すぎるとライトを当てたとき爪が熱くなる可能性があるので、薄めにジェルを塗り数回にわけて硬化するのもおすすめのやり方です。
⑪ネイルフォームを外す
十分な厚みが出たらネイルフォームを取り外します。
無理やり剥がすのではなく、ジェルが折れないよう爪の下に向かって優しく外すようにしましょう。
⑫硬化してないジェル(未硬化ジェル)をクレンザー等で拭き取る
ライトを当てても十分硬化していないジェル(未硬化ジェル)が残っているので、クレンザー等できれいに拭き取ってください。
⑬ファイルやバッファーで爪の表面を整えて完成
仕上げに「バッフィング」と「サンディング」を行い、ネイルフォームを使った長さを出し完成です。
長さ出しのやり方②チップフォーム編
続いて、チップフォームを使ったジェルネイルの長さ出しを解説します。
基本的にネイルフォームを使うときと同じ道具が必要ですが、チップフォームを使う場合はトップジェルを用意しておいてください。
トップジェルとしても使えるクリアジェルなら同じもので問題ありません。
やり方の手順は下記の通りです。
- ニッパーで自爪を短くカットする
- ファイルやバッファーで爪の表面を整える
- メタルプッシャーで甘皮を処理する
- クレンザー等で爪の油分・ダストを拭き取る
- ベースジェルを塗りUVライトorLEDライトで硬化する
- 自爪にトップジェルを塗る
- チップフォームの内側にトップジェルを塗る
※長さを出したい範囲まで塗る - チップフォームを爪にはめUVライトorLEDライトで硬化する
- チップフォームを外す
- ファイルやバッファーで爪の表面・先端を整えて完成
※強度が欲しい場合はさらにトップジェルを塗って硬化する
それでは、チップフォームを使った長さ出しの手順を詳しく説明していきます。
①~⑤ネイルフォームと同様
①~⑤の手順はネイルフォームと同じなので割愛します。
⑥自爪にトップジェルを塗る
ベースジェルが硬化したら、トップジェルを爪全体に塗っていきます。
トップジェルは爪の際まで丁寧に塗ってください。
⑦チップフォームの内側にトップジェルを塗る
続いて、チップフォームの内側にもトップジェルを塗ります。
チップフォームと爪がしっかり密着するよう、チップのカーブしている面は多めにトップジェルを塗りましょう。
⑧チップフォームを爪にはめUVライトorLEDライトで硬化する
トップジェルを塗ったら、チップフォームを爪にはめライトで硬化します。
チップフォームは強く押しすぎるとジェルがよれてしまうので、爪の上に優しくのせるよう注意してください。
⑨チップフォームを外す
硬化できたらチップフォームを外しますが、力尽くで外そうとすると硬化していてもジェルが折れてしまうので注意が必要です。
ポイントはチップの根元を押さえて左右に動かしながら外すこと。
⑩ファイルやバッファーで爪の表面・先端を整えて完成
仕上げに表面や先端の凹凸を整え、チップフォームを使った長さ出しは完成です。
「強度が足りない…」と感じたら、上からトップジェルを塗りもう一度硬化することで強度を上げることができますよ。
フォームなし派必見!ジェルの長さ出しはティッシュでもできる?
ネイルフォームとチップフォーム、それぞれのジェルの長さ出しのやり方を解説しましたが「ネイルフォームは難しい…」「チップ以外のやり方はないの?」と思っている人もいるはずです。
そこでここからはフォームなし派必見の、ティッシュを使ったジェルの長さ出しについて解説します。
ティッシュを使ったジェルの長さ出しのやり方は下記の通りです。
- ニッパーで自爪を短くカットする
- ファイルやバッファーで爪の表面を整える
- メタルプッシャーで甘皮を処理する
- クレンザー等で爪の油分・ダストを拭き取る
- ティッシュを爪の形に合わせてカットする
- ベースジェルを爪に塗る
- 硬化する前にティッシュを爪に合わせて置く
- 爪とティッシュを覆うようにベースジェルを塗る
※塗りにくいときは半硬化する - UVライトorLEDライトで硬化する
- 全体にトップジェルを塗り再度UVライトorLEDライトで硬化する
- 硬化してないジェル(未硬化ジェル)をクレンザー等で拭き取る
- ファイルやバッファーで爪の表面・先端を整えて完成
ティッシュでジェルの長さ出しをするときのコツは?
フォームではなく、ティッシュを使って長さ出しをするときのポイントは下記の通りです。
- ティッシュの切り方
- トップジェルの種類
まず、家庭用のティッシュは2枚重ねになっていることがほとんどですが、フォーム代わりとして使うときは1枚にして爪に貼り付けましょう。
ティッシュをカットする際は、自爪の横幅よりやや小さめに切るのがポイントです。
自爪よりティッシュが小さいとジェルで微調整しやすいので、ベースジェルを塗る前にしっかり形を決めておきましょう。
そして、ティッシュを使った長さ出しで使用するトップジェルはハードジェルがおすすめ。
柔らかいティッシュの上に粘度の低いソフトジェルを塗ると、液が流れやすく強度が出ない可能性があります。
そのため、しっかり固まるハードジェルの方がティッシュを使った長さ出しには向いている、という訳です。
100均も!ジェルネイルの長さ出しにおすすめの商品3選
実は、ジェルネイルの長さ出しとして、市販や100均などからたくさんのジェルネイルアイテムが販売されているんです。
そこでここからは、セルフやサロンで使えるジェルネイルの長さ出しにおすすめの商品を紹介します。
ジェルネイルの長さ出しにおすすめの商品①セリア 長さ出しジェル
チップフォームを使った長さ出しに使えるセリアのクリアジェル。
アイシングのような流れにくいクリアジェルなので、薄めに塗り広げることができ初心者さんでも使いやすいようです。
ただ、100均の商品らしくかなりコンパクトなサイズ感なので使用回数は限られてしまいます。
とは言え、セリアにはクリアジェルだけではなく長さ出しに使えるチップフォームも販売されているので、お試し感覚・使い切りタイプのジェルが欲しい人におすすめの商品です。
ジェルネイルの長さ出しにおすすめの商品②ネイルフォーム
たっぷり使える200枚入りの大容量ネイルフォーム。
こちらのネイルフォームはAmazonなどで購入でき、税込み約500円とコスパの良さも抜群です。
施術用としてだけではなくご自身の長さ出しとしてもおすすめでき、黒のガイドラインが付いているので爪との明度でとても見やすくなっています。
また、おまけとしてフレンチガイドシールが付いているのも嬉しいポイントです。
ジェルネイルの長さ出しにおすすめの商品③チップフォーム
どんな爪にも使える10種類のネイルチップがセットになったチップフォーム。
こちらのチップフォームは内側に分かりやすいガイドがあるのに加え、チップの先端に持ち手が付いているので角度調整にも使いやすいです。
爪とチップを密着させるための固定クリップも5個付いており、税込み800円ほどで購入できるお得感が強いチップフォームになっています。
ジェルの長さ出しはフォームなしでもできる!やり方をマスターしよう
ジェルネイルの長さ出しについて紹介し、ネイルフォーム・チップフォームを使った長さ出しのやり方を中心に解説してきました。
ジェルネイルの長さ出しが苦手な人もいますが、フォームなしでも長さを出すことは可能なので、まずはご自身が得意とするやり方をマスターしましょう。
今回解説した長さ出しのやり方を参考に、100均などお得な商品を使って練習すればお客様の満足度向上に繋がります。
コメント
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